アーユルヴェーダは、中医学・ユナニ医学と並んで、世界三大伝承医学のひとつです。
その中でも最長の歴史を持つアーユルヴェーダは、世界の医療の根源と言われ、西洋医学だけでなく、東洋医学、その他の代替医療などに強く影響を与えたと言われています。
「アーユルヴェーダ」の意味
アーユルヴェーダの語源は、サンスクリット語の「アユース」と「ヴェーダ」に由来しています。
「アユース」・・・生命
「ヴェーダ」・・・真理・科学・智慧
合わせて「生命の科学」と言われています。
アーユルヴェーダのゴール
三位一体(心・体・魂の調和)肉体と心と魂には、切り離せない密接な関係があり、この3つがバランスよく繋がることで、私達は、個としての存在を超え、すべてと一体となることができる。
アーユルヴェーダの目的
健康で幸せな人生「スカアーユ」人や社会の役に立つ人生「ヒタアーユ」
アーユルヴェーダの目標
病気にならない心と身体作り・ 心身の不調和を改善・ 免疫力をつける若返り・長寿・ 老化防止・ 精力増進・ 視力回復疲労回復・ストレス解消
アーユルヴェーダの起こりには、様々な言い伝えがあり、どれも、定かではありません。
ここにご紹介するのは、その中の1説です。
『アーユルヴェーダは、今から数千年前にインドで発祥しました。
当時、インドでは、ヒンズー教が盛んに信仰され、人々は多くの神を崇めていました。病気も飢餓もなく、幸せな日々が続いていましたが、突然の気候変化で、干ばつが続き、食糧不足に悩まされた人々は、仕方なく、牛を殺生して、食用しました。
ヒンズー教の最高神であるブラフマは、天からその光景をご覧になり、大変嘆かわしく思いました。その時についた悲しみの大きなため息が、地上に病気をもたらしたと言われています。
病気でのたうち回る人々をみて、ブラフマは、今度は大変哀れに思いました。そして、人間を病苦から救うために、ダクシャという神を使わしました。ダクシャ神は、ブラフマから教わった人間救済の智慧を実践するために、アシュウィニーという兄弟神を見つけて伝授しました。アシュウィニー兄弟神は、インドラ神にその智慧を託しました。
インドラ神は、地上に降りて、人間界の中から、ブラフマの智慧を実践できる5人の賢者をヒマラヤの麓に集めました。“リシ”あるいは、“マハリシ”と呼ばれる聖賢達です。名前を、チャラカ、スシュルタ、バーグバタ、ダンヴァンタリ、アートレーヤと言います。
これらの賢者達は、ブラフマが人間救済のために編み出した、科学的、哲学的、医学的学問を、実践できる形にして当時の人々を救ったのです。これが、アーユルヴェーダの起こりと言われています。
以来、その智慧は、人々に生きるための法則を説く学問、「神の智慧」として尊ばれ、口伝聴聞の形で伝承されていきました。
ヒマラヤという地は、アーユルヴェーダを実践するための薬草薬樹が豊富な地域であり、賢者達が人間界から遠ざかり、その研究に没頭できる最高の場所だったと言われています。』
こうして発祥したアーユルヴェーダは、インドやスリランカにおいて信仰と共に普及し、現在まで守られてきたのです。
インド・スリランカで語り継がれてきたアーユルヴェーダは、1977年、WHOの公式承認を受けてから、世界の注目をあびるようになりました。その理由は、幸せの原点として、病気予防、健康促進、若返りの大切さを説くアーユルヴェーダの考え方が、先進長寿国の中で必要になってきたからです。今では、日本、アメリカ、ヨーロッパを始め、多くの国で、実践研究が続けられています。